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旅ナカ調査の設問設計―10分で終わらせるための質問の絞り方

2025/04/15

旅ナカ調査の設問設計観光地や街頭での対面式「旅ナカ調査」。
現地で旅行者をキャッチして行うこの手法は、新鮮な体験価値(CX)や旅中のリアルな行動を捉える上で欠かせません。
しかし、足止め調査の最大の壁は「回答拒否」と「途中離脱」です。
観光中の旅行者にとって、時間は最も貴重なリソース。調査員が声をかけてから謝礼を渡して見送るまで「10分以内」に収めるのが、回収率とデータ品質を担保する絶対条件です。
本コラムでは対面調査のための「引き算の設問設計」を解説します。

 

1. 軸を定める「3分類の仕分け」

まず、盛り込みたい設問候補を以下の3つに厳格に仕分けます。

・Must Have(必須):仮説検証と属性クロス集計に必要な核(主目的・滞在形式・満足度等)。
・Nice to Have(代替可):二次データ(オープンデータやGPSログ等)で補完可能な項目は即削除。
・Don’t Need(削除):「念のため」や漠然とした仮説なき質問。

対面調査では「現場で調査員が聞き、その場で記録・回答してもらう」思考コストがかかります。
1問増えるごとに回収率が著しく下がるという意識を持ちましょう。

2. 対面調査の「10分間(全10〜12問)」ストーリー

会話のスムーズな流れを意識した構成案です。

Step1:導入(属性確認・2分)
Q1. 居住地/Q2. 同行者/Q3. 滞在タイプ
└ まずは答えやすい属性から入って警戒心を解きます。

Step2:核心(事実確認・5分)
Q4. 訪問目的/Q5. 周遊ルート/Q6. 情報源/Q7. 支出
└ 記憶が鮮明な「今日の行動・金額」をカード提示で素早く確認。

Step3:評価(感情の測定・3分)
Q8. 満足度/Q9. NPS(推奨度)/Q10. 再訪意向
└ 旅の振り返りとして最後に体験全体の評価を聞き出します。

※ ベースは10問ですが、調査目的によって属性確認や自由回答を1〜2問追加することもあります。その場合は他の項目を削り、合計10〜12問・10分以内を上限の目安にしましょう。

3. オペレーション負担を激減させる「対面UI」

対面調査の「時間」は、設問数だけでなく「提示・回答の工夫」で大幅に短縮できます。

・提示カード(フリップ)の活用
選択肢が多い質問や費目別支出は、リスト化した「提示カード」を回答者に見せ、指差しで選んでもらいます。口頭での読み上げ時間を削減できます。

・金額・時間は「レンジ選択」一択
「〇〇円消費しましたか?」の数値記入は記憶を辿る負荷が高すぎます。「3,000円〜5,000円未満」のような刻みの選択肢にし、直感で選ばせます。

・マトリクス設問の解体
対面で複雑なマトリクスを聞くと回答者が混乱します。項目を3〜4個に絞り、シンプルな単一回答に分解してテンポよく聞き出します。

【まとめ:設問のミニマリズムがデータの質を保証する】

旅ナカ調査では、「より多く聞く」ことが必ずしも調査価値の向上にはつながりません。
回答負荷や認知負荷を考慮した設問設計は、測定誤差や非回答バイアスを抑制し、結果としてデータ品質の向上に寄与します。

調査設計とは、質問を追加する作業ではなく、意思決定に必要な情報を見極めて削ぎ落とすプロセスです。
その引き算の設計思想こそが、現場で再現性の高いインサイトを生み出す旅ナカ調査の本質と言えるでしょう。

 

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