ブランド認知・イメージ調査
認知率が上がっても売上が動かない。その原因は、たいてい認知の"量"ではなく"質"にあります。フェイス・コムは、想起の構造とブランドイメージの位置関係を可視化し、次に何を伝えるべきかまで示す調査を設計します。
ブランドは「高級品」のことではありません。社名、店名、シリーズ名、商品名――消費者が何かを選ぶとき、判断のショートカットとして働いているものすべてがブランドです。そしてブランドは、企業が意図するかどうかに関わらず、良くも悪くも形成されていきます。
ブランドの4階層 ― どの階層を測るのかを最初に決める
階層によって、聞くべき相手も設問も、打てる手も変わる
「ブランド調査をしたい」というご相談で最初に確認するのが、この階層です。企業ブランドの認知が課題なのか、個別商品の想起が課題なのかで、調査対象者も設問も報告先もまったく変わります。
棚に大量の商品が並ぶなかで、消費者は毎回すべてを比較検討しません。「このメーカーなら」という蓄積されたイメージが、そのまま選択のショートカットとして機能しています。
企業が発信していなくても、価格、パッケージ、店頭での見え方、口コミからイメージは形づくられます。測っていないということは、意図しないイメージが定着していても気づけないということです。
出稿量を増やせば助成想起(見れば分かる認知)は上がります。しかし購買に効くのは第一想起です。この2つを分けて測っていないと、効いていない投資を続けてしまいます。
ブランド調査は大きく、どれだけ知られているかを測る「認知(ブランド浸透度/マインドシェア)」と、どう思われているかを測る「イメージ」の2軸で構成されます。この2つは必ずセットで見る必要があります。
「知っていますか?」の聞き方ひとつで、出てくる数字はまったく変わります。ブランド認知は一枚岩ではなく、思い出せる強さによって階層があります。
ブランド認知の4レベル
上に行くほど購買行動に直結する。広告投資が本当に効いたかは、最上位が動いたかで判断する
純粋想起/助成想起の比率を「想起率」と呼びます。助成想起は高いのに純粋想起が低いブランドは、「見れば知っているが、買う場面で思い出してもらえない」状態です。この場合に必要なのは露出量の追加ではなく、「どんな場面で使うブランドなのか」という連想の紐づけです。
ブランドイメージとは、消費者がそのブランドに対して抱いている連想の集合です。重要なのは、イメージは単独のスコアではほとんど意味を持たないということです。「信頼できる 48%」という数字は、競合が41%なのか、それとも70%なのかで解釈が180度変わります。
だからこそブランドイメージ調査では、必ず競合ブランドにも同一設問を投げ、同一の回答者集団の中で相対比較します。そのうえで二軸にマッピングしたものが、ポジショニングマップです。
そのカテゴリーを考えたときに、どれだけの人の頭の中に自社ブランドが存在しているか。「量」と「強さ」の指標です。
知られたうえで、どう思われているか。「質」と「方向」の指標で、訴求メッセージの設計に直結します。
フェイス・コムの基本設計:1本の調査票で「純粋想起 → 助成想起 → イメージ評価 → 利用実態 → 利用意向」を、この順序で取得します。順序が固定なのには理由があります(詳しくは04 調査手法)。この構成にしておくと、「認知の課題なのか、イメージの課題なのか、それとも認知もイメージも良いのに購買に至っていないのか」を、追加調査なしで切り分けられます。
ブランド調査の価値は「認知率が何%だった」という報告ではなく、次の予算をどこに置くかの判断材料になることです。
出稿前後で同一設計の調査を行えば、認知がどのレベルまで動いたかを定量化できます。売上に表れる前に、投資の方向性が正しいかを判断できます。
すでに強いイメージを重ねて訴求しても伸びしろは限られます。競合が押さえていない領域で、かつ購買決定要因として重要な軸を特定できます。
社内で「うちの強みは技術力」と信じていても、消費者の頭の中では違う印象で記憶されていることは珍しくありません。そのズレの発見自体が大きな成果です。
ロゴ刷新、社名変更、パッケージ変更。既存資産をどこまで捨ててよいのかを、認知の蓄積量から判断できます。「変えるべきでない」と分かることにも価値があります。
認知は取れているのに理解されていないのか、理解はされているが自分ごとになっていないのか。ファネルのどこで落ちているかで、打つべき手はまったく異なります。
企業ブランドの認知とイメージは、消費者以外にも効きます。第三者調査によるデータは、採用サイト・統合報告書・営業資料で使える客観的な素材になります。
フェイス・コムは、広く市場全体を捉える「インターネットリサーチ」と、実際の購買・来店文脈で聞く「店頭調査・来店客調査」を、目的に応じて使い分け/組み合わせて設計します。
ブランド調査の主力手法です。大規模サンプルで競合を横並びに比較でき、非認知層・非利用者にも届くのが最大の利点。定点トラッキングにも向いています。
実際の購買・来店という文脈のなかで聞ける手法です。「頭の中の認知」ではなく「売場で実際に想起されたか」という、行動に近いデータが取れます。
| インターネットリサーチ | 店頭調査・来店客調査 | 併用(推奨) | |
|---|---|---|---|
| 聞ける相手 | 認知者/非認知者/競合利用者/未購入者 | 実際の来店客・購入者 | 市場全体の座標軸+売場での実像 |
| 測れる認知 | 純粋想起・助成想起を厳密に分けて測定可能 | 購買文脈での想起・実際の選択理由 | 「思い出せる」と「選ばれる」の差を検証 |
| 競合比較 | 同一回答者内で横並び比較しやすい | 店舗の取扱ブランドに制約される | Webで全体、店頭で実売場を確認 |
| サンプル数 | 数百〜数千規模も可能 | 数十〜数百/店舗 | 目的別に配分 |
| 期間の目安 | 2〜4週間程度 | 3〜6週間程度 | 4〜8週間程度 |
| 注意点 | 想起はあくまで「回答時点」のもの | 来店客に偏り、非認知層が拾えない | 設問文を揃え、比較可能性を担保する |
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使い分けの考え方:「市場全体で自社が何番目に思い出されるか」はネットリサーチでしか測れません。逆に「棚の前で実際に手に取られる理由」は店頭でしか分かりません。インターネットリサーチで市場の座標軸を、店頭調査で購買現場の実像を――この2つが揃うと、「認知はあるのに売場で負けている」といった構造まで見えてきます。
フェイス・コムが標準的にご提供する分析アウトプットを、サンプルでご紹介します。以下の数値はすべて架空のサンプルです
各ブランドについて、第一想起・純粋想起・助成想起を並べて比較します。ここで見るべきは助成想起の順位ではなく、助成想起に対して純粋想起がどれだけ確保できているか(=想起率)です。
ブランド別 認知レベル比較
首都圏の宅配クリーニングサービス/インターネットリサーチ n=2,000 を想定した架空データ
読み取り例:A社の助成想起61%は5社中3位で悪くありません。しかし第一想起は8%とB社の1/3以下。「知られていない」のではなく「思い出されない」のが課題です。必要なのは「どんなときに使うサービスか」という利用場面との紐づけです。
認知から購買・継続までを段階に分け、各段階の到達率と落ち幅を可視化します。投下すべき予算の置き場所は、落ち幅が最も大きい段階で決まります。
ブランド・ファネル(A社)
全回答者 n=2,000 に対する各段階の到達率
読み取り例:最大の落ち幅は「①助成認知 → ②内容理解」の23pt。認知はあるが事業内容が伝わっていない状態。サービス内容を説明するクリエイティブやLPの改善のほうが費用対効果は高くなります。④→⑤の落ちは小さく、一度使えば定着しています。
消費者が持つブランドイメージを二軸上にマッピングし、競合との相対位置を視覚化する手法です。作成時の要点は3つあります。
ポジショニングマップ
円の大きさは第一想起率/グレー文字はイメージ項目の位置(コレスポンデンス分析による布置イメージ)
A社は「信頼・実績」の近くにあるが中心寄りで輪郭が弱い。B社が「先進×情緒」を明確に押さえている以上、同じ土俵での戦いは不利。①「使いやすさ・実用性」で機能側に立つか、②「信頼・実績」を情緒的文脈に翻訳し直すか、次の図版④で判断します。
イメージ項目ごとの付与率を競合と並べます。守りのイメージ(信頼・実績)と、選択の決め手になる攻めのイメージ(自分らしい・応援したい)を分けて見るのが要点です。
イメージ項目別の付与率 A社(自社) vs B社
各ブランドの助成認知者ベース/複数回答
読み取り例:A社は「信頼・実績・手頃な価格」ではB社を上回っています。しかし選択の決め手になる「自分に合っている」「応援したい」で3倍近い差。A社は"減点されないブランド"であって"選ばれるブランド"にはなっていない。訴求すべきは信頼の上塗りではなく、共感を生む文脈です。
同一設計で継続測定することで、広告出稿やメッセージ変更の効果を検証できます。認知率と第一想起率を分けて追うと、投資の質が判定できます。
助成認知率と第一想起率の推移(A社)
半期ごとの定点調査(各回 n=2,000)
読み取り例:助成認知率はほぼ頭打ち。出稿量を増やした3期でも第一想起は動きませんでした。認知の"量"はすでに飽和しており、追加出稿の限界効用はほぼゼロ。訴求を「利用場面」に変えた4期で第一想起が8→14%に跳ねた事実が、次期の投資判断を決めます。
ブランドとイメージ項目の関係性を同一平面に布置し、どのブランドがどの連想を占有しているかを可視化します。
「どこで知ったか」を測定し、想起の強さと媒体接触の関係を分析。次期のメディアプランに直結します。
「このブランドと聞いて思い浮かぶこと」を自由回答で取得し、選択肢では拾えない連想語を抽出します。
どのイメージが実際の選択に効いているかを定量化。「差はあるが選択に効かない軸」への投資を防ぎます。
性年代・利用経験・競合利用者など、層ごとにイメージの見え方がどう違うかを比較します。
広告案、ロゴ、パッケージを提示し、想起されるイメージが意図と合っているかを事前検証します。
実際にご相談の多い活用シーンです。「ブランド調査をしたいが、何から聞けばよいか分からない」という段階からご相談いただけます。
「出稿を続けるべきか、内容を変えるべきか決めたい」
出稿前にベースラインを取得し、出稿後に同一設計で再測定します。助成認知と第一想起を分けて追うことで、「量が足りないのか、伝え方が違うのか」を切り分けられます。予算の継続・組み替えを社内で説明するための根拠になります。
「棚で選ばれる理由を知りたい」
インターネットリサーチで市場全体の想起構造を押さえたうえで、店頭調査で実際の購入者に選択理由を聴取します。「頭の中では2番手なのに、売場では選ばれていない」といったギャップが見つかることがあります。
「今の名前の資産価値がどれくらいあるか知りたい」
変更前に認知とイメージの蓄積量を測っておくことで、何を捨て何を残すかの判断ができます。変更してからでは測れないため、着手前のご相談を強くおすすめします。
「進出先で自社がどれだけ知られているか知りたい」
エリア別に認知率と競合の想起構造を測定します。既存エリアで通用した訴求が新エリアで効くとは限りません。参入前に競合が押さえているポジションを把握しておけば、初期投資の無駄を避けられます。
「検討リストに入れてもらえているのか知りたい」
BtoBでは、そもそも候補として想起されるかどうかが受注機会を決めます。決裁者・担当者を対象に第一想起と検討候補入り率を測定し、営業とマーケティングのどちらに課題があるかを切り分けます。
「学生や投資家からどう見られているか知りたい」
企業ブランドの認知・イメージは、消費者だけでなく求職者や投資家にも影響します。対象者を学生・転職検討者などに設定した調査で、採用競合との相対位置を把握できます。結果は採用サイトや統合報告書の素材にもなります。
お問い合わせから報告会まで、標準的には6〜10週間程度です。インターネットリサーチ単体であれば短縮も可能です。
どの階層のブランドを、誰を対象に、何を判断するために測るのかを固めます。比較対象とする競合ブランドの選定もここで行います。ここの選び方ひとつで、出てくる結論が変わります。
想起設問の順序、提示ブランドのリスト、イメージ項目の選定を行います。イメージ項目は多ければよいというものではなく、購買決定要因に絞ることで回答負荷を下げ、精度を上げます。
インターネットリサーチは割付の充足状況を見ながら進行。店頭調査は調査員の手配・研修・店舗調整を含めて実施します。
認知レベル別集計、ファネル分析、ポジショニングマップ、イメージ項目比較、自由回答の分類などを実施します。
データの羅列ではなく、「次に何を、誰に、どう伝えるべきか」の示唆まで書き切った報告書をお出しします。報告先に合わせた資料の作り分けも承ります。
ブランドは単発では動きません。半期〜年次での継続測定をご提案しています。2回目以降は設計工数が下がるため、コストを抑えて運用できます。
ブランド調査は、設計を誤ると「取り直しが効かない」タイプの調査です。実施前にどこまで詰められるかが、そのまま結果の使い道を決めます。
ブランド一覧を先に提示してから「知っているものは?」と聞いてしまい、純粋想起が測れなくなっていた。
純粋想起 → 助成想起 → イメージの順序を厳守します。この順序は後から補正できないため、調査票レビューで最も時間をかける部分です。
「品質」と「価格」でポジショニングマップを作ったら、全ブランドが対角線上に並び、何も見えなかった。
軸は相関の低い独立した要素で設定します。事前に相関構造を確認したうえで、購買決定要因として意味のある軸を選びます。
自社ブランドだけを聞いたので「信頼できる 48%」という数字は出たが、良いのか悪いのか判断できなかった。
イメージは必ず競合と同一設問・同一回答者で取得します。相対比較できない単独スコアは、意思決定に使えません。
認知率が上がったので広告は成功と報告したが、売上は動かず、翌年の予算が通らなかった。
助成認知だけでなく第一想起・想起率をKPIに置きます。「量」と「質」を分けて報告することで、投資の妥当性を正しく説明できます。
比較対象に自社が「競合だと思っている企業」だけを入れた結果、消費者が実際に検討しているブランドが漏れていた。
純粋想起の自由回答から、消費者側から見た実際の競合集合を先に把握します。社内の競合認識とのズレ自体が、しばしば最大の発見になります。
フェイス・コムは、マーケティングリサーチとWebクリエイトの両方を手がけています。ブランド調査で明らかになった「伝わっていないこと」「持たれているイメージとのズレ」を、そのままサイトやコミュニケーション施策の改善につなげられること――これが、調査単体をご提供する会社との違いです。調べて終わりにせず、伝え方を作り直すところまでご一緒できます。
比較する競合ブランドは、どう決めればよいですか?
+社内で競合と考えている企業と、消費者が実際に併せて検討しているブランドは、しばしば一致しません。まず純粋想起の自由回答で「消費者から見た競合集合」を把握し、そのうえで比較対象を確定する二段構えをおすすめしています。初回調査では対象をやや広めに取り、次回以降で絞り込む設計も有効です。
サンプル数はどのくらい必要ですか?
+ブランド調査は「第一想起率が数%」といった小さい数字を扱うため、満足度調査よりも多めのサンプルが必要です。全体傾向の把握で1,000サンプル前後、性年代やエリア別に分けて見たい場合はさらに必要になります。「どこまで細かく見たいか」からの逆算でご提案します。
認知率が低いことが分かってしまうのが不安です。
+低いこと自体は問題ではなく、低い理由が分からないまま予算を使い続けることのほうがリスクです。実際には「認知は取れていて、伝わっていないだけだった」というケースも多く、その場合は打ち手のコストがぐっと下がります。社内で扱いにくい結果になりそうな場合は、報告の切り口についてもご相談ください。
1回だけの調査でも意味がありますか?
+あります。競合との相対位置とファネルのボトルネックは、単発でも十分に把握できます。ただし施策の効果検証は比較対象があって初めて可能になるため、施策を打つ前に一度ベースラインを取っておくことを強くおすすめします。
費用はどのくらいかかりますか?
+手法・サンプル数・比較ブランド数・分析範囲によって変わります。インターネットリサーチ中心の構成であれば比較的抑えられます。ご予算の目安をお伝えいただければ、その範囲で最も示唆が得られる設計をご提案します。
調査結果をプレスリリースや広告で使いたいのですが。
+対応可能です。ただし「認知度No.1」のような表現を使う場合、調査主体・対象者条件・調査期間・サンプル数・調査手法の明記に加え、表示上の適切さについて事前の確認が必要です。設計段階からご相談いただければ、公表時に問題が生じない形で組み立てます。