リピーターが増えない原因を探る——来店客調査の活用事例
2025/03/18
「新規顧客はそれなりに集まるのに、なぜかリピートにつながらない」――。
これは多くの店舗ビジネスが直面する根深い課題です。
クーポン配布や販促キャンペーンなどの「攻めの施策」を打っても効果が出ない場合、原因は店舗側が気づいていない「サイレントディスアティスファクション(顧客の静かな不満)」にある可能性が高いと言えます。
今回は、顧客が二度と戻ってこない「真の原因」を突き止め、リピート率向上へと導いた「来店客調査」の具体的な活用事例を解説します。
- なぜリピーター不足の原因は見えにくいのか?
不満を持った顧客の多くは、クレームを言うことなく、ただ黙って他店へと去っていきます。
これをマーケティング用語で「顧客の離脱(チャーン)」と呼びます。POSデータ(購買データ)を眺めているだけでは、「誰が・何を・いくらで買ったか」は分かっても、「なぜ次に来てくれないのか」という購買行動の背景にある心理(インサイト)までは見えてきません。
そこで威力を発揮するのが、実際の来店客を対象に実施する「来店客調査」です。
- 【事例】あるライフスタイル雑貨店「A店」の挑戦
駅ビルに出店する雑貨店A店は、オシャレな内装と話題性でオープン当初は連日大盛況でした。
しかし、半年が過ぎる頃から客足が鈍化。新規客の獲得コスト(CPA)ばかりが膨らみ、リピート率が低迷するという課題を抱えていました。
そこでA店は、購入直後の顧客を対象に出口調査を実施。さらに、過去に1度だけ購入してその後来店の形跡がない顧客層へデジタルアンケートを配信。
調査では、「総合満足度」「再来店意向」「店舗体験の各評価項目(接客・品揃え・価格・レジ待ち時間など)」を設計し、さらに自由記述を組み合わせて定量・定性の両面から分析しました。
<調査から見えてきた「仮説と現実のギャップ」>
店長や本部スタッフは、「競合店に顧客が流れている(価格や品揃えの負け)」と予想していました。しかし、調査によって浮き彫りになったのは全く異なる事実でした。
- 課題①:入店しやすさと「レジのボトルネック」
総合満足度は高いものの、「レジの待ち時間」に対する不満スコアが突出して低いことが判明しました。購入意欲が高まってレジに並んだものの、オペレーションの遅さにストレスを感じ、「次からは時間がかかるから寄るのをやめよう」と判断されていたのです。
- 課題②:リピートを促す「フック(動機)」の不在
継続来店意向を5段階で測定したところ、「どちらともいえない」が約60%を占めました。自由記述を確認すると、「特に不満はないが、また来る理由もない」という回答が多く、再来店の動機形成が不足していることが示唆されました。
- 調査結果をもとにした「3つの一手」
A店はこのデータをもとに、単なる勘に頼らない確実なリピート施策(リテンションマーケティング)を実行しました。
◆レジ応対の高速化と人員配置の最適化(即時改善)
ピークタイムのスタッフ配置を見直し、セルフレジの導入や並び順のアナウンスを徹底。購入体験の最後(ピーク・エンド効果)をポジティブな印象に塗り替えました。
◆「次回の楽しみ」を視覚化する店舗演出
「来月◯日に新作が入荷します」といった、次回の来店のフックとなるポップを店内の目立つ位置やレジ横に設置。
◆F2転換(2回目購入)を狙うアプリ施策の連動
購入金額に応じた画一的なクーポンではなく、初回購入者が「30日以内」に再訪したくなるような、パーソナライズされた動機付けをアプリ上で実施しました。
【原因が分かれば、打つべき手が変わる】
施策を打った結果、A店のF2転換率は大幅に改善し、半年後にはリピーターの売上比率は改善傾向を示しました。
リピーターが増えないとき、多くの企業は「魅力的な新商品」や「値下げ」に頼ろうとします。
しかし、本当のボトルネックは「接客」や「店舗レイアウト」「レジの待ち時間」といった、数字には表れにくい小さな不満にあることが多いのです。
来店客調査の価値は、「満足度を測ること」ではありません。再来店意向に影響を与える要因を特定し、改善施策へ結び付けることにあります。
POSデータだけでは見えない顧客心理を定量・定性の両面から捉えることで、より効果的なリテンション施策を設計できるようになります。
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